真理子
トレーニングをすることは大切なんですか?
北野 優旗
体のほとんどは筋肉でできています。
確かに体脂肪もあります、骨もあります。
ですが、血管だって内臓だって実は筋肉なのです。
泣くも笑うも食べるも走るも、全て筋肉が動いてこそ可能なことです。
全身で約400もある筋肉 がどんな具合いになっているかで、私たちの健康から運動能力からプロポーションまですべて決まってきます。
なんともうれしいことに、筋肉は自分の意志で好きなように筋肥大させたり、引き締めたりとデザインすることができるのです。
太くたくましくもできるし、キュッとかっこよく絞り上げることも可能です。
こんな素晴らしいい可能性を秘めた筋肉を、ただ黙って衰えさせる手はありません。
どんどん鍛えて、どんどん自分の望む体を手に入れようではありませんか。
トレーニングのメイン14の筋肉とその働きを知ろう!筋肉の基礎知識を勉強しておきましょう。
どうすれば筋肉は変わるのか、それに必要なものはなにか、うまくやるコツや成功のポイントは?
まずは 誰でも鍛えておきたい筋肉の分布図 を見てみましょう。
主要な14の筋肉分布図
筋肉を思い通りデザインする方法
使えば使うほど強くなるのか、筋肉?
学生時代に運動をしていた人なら分かると思いますが、走ったり筋力トレーニングをしたりと、部活動でカラダを使っているとカラダはどんどん強くなっていったはずです。
先輩の「腹筋300回!」という鬼のような号令に、ひーひー言いながらも、一カ月、半年と経つうちに次第に300回もラクにこなせる自分がいたはずです。
どうして体は変わったのでしょうか?
また、激しい練習を繰り返す毎日の中で、 2~3日連休 がポカリと入ったりします。
するとカラダがいつもより軽くなった気がしたり、強く跳んだり走ったりでいるような感覚を覚えたことはないでしょうか。
もちろん数日休んだから、というのも理由ですが、自分のカラダに強さを感じられたはずです。
カラダには頭から足の先まであちらこちらに筋肉がついています。
それがトレーニングや運動でどうやら強くなるらしいのです。
不思議ではありませんか?だって歩き続ければ疲れてしまうし、腹筋だと頑張っても、翌日には筋肉痛で笑うことさえできなくなります。
動かせば動かすだけで筋肉は疲れてしまうではありませんか。ではどうしてでしょう。
そこに筋肉が大きく強くなるヒミツが隠されているのです。
疲れる、痛みが残る、これが筋肥大のポイント なのです。
このポイントさえ知っておけば、筋肉は思い通りデザイン可能ですし、やがて筋肉を利用して理想の体型になることさえ夢ではありません。
いったいどうしたら筋肉は大きくなるのでしょうか。
ぜひここでそのメカニズムを知っておきましょう。
自然治癒力がさらなる強さを呼ぶ。
ウエイトトレーニングなどで、筋肉に大きな負荷をかけると、筋肉は疲れます。
「そんな危険な」と思うことはありません。これが筋肉を成長させるきっかけなのです。
筋肉は細かい繊維の束でできています。
その束が伸びたり縮んだりして力を発揮しているのですが、いつもより大きい伸び縮みがあると繊維が一部、 プチプチと切れます。
それは自然なことで、ケガと呼ぶほどのものではありません。
例えばストレッチで負荷をかけても筋肉の繊維は切れます。
いつもしないのにダッシュで駅まで走ってふくらはぎが痛む。これも筋肉がプチプチ切れているのです。
着れると軽く炎症を起こして熱を持ったり、腫れたりします。
そして必ず筋肉痛という痛みが翌日から1~3日ほど続きます。
さて、この筋肉痛がいいということです。誰もが嫌いな筋肉痛がいいとは変な話です。
いつもより強い「刺激」を受けた筋肉はダメージを受け、そのダメージを回復させようとカラダは痛みを発します。
その信号が出ている間、 筋肉の中では切れた筋繊維を回復すべく、筋肉の原料が集められたり、修復作業が着々と進んでくる のです。
人間も動物もそうですが、キズを負っても、いつの間にか傷口はふさがっていると思います。
骨折してもギブスで固定しておけば、いつのまにやら骨がついてしまうでしょう。
風などのウィルスに感染して発熱したり寝込んだりしても、しばらくすると良くなって、さらにそのウィルスに対して抵抗力がつきます。
これが「 自然治癒力 」というもので、生き物がもっているすばらしいパワーなのです。
自分の内側の力で、ケガや病気を治してしまうということ。治すだけでなく、そこに磨きをかけるというのも「 自然治癒力 」の特徴です。
一度骨折した骨は二度と折れないように強くなっているし、傷口あたりの皮膚は周りと比べて硬く感じるはずです。
筋肉だって同じことです。
プチプチと切れて炎症を起こし、修復作業に入るのは「自然治癒力」のパワーが働いているからで、恐れることは何もないのです。
さらに修復段階で、筋肉は以前より太く強い筋繊維に組み上げられます。
カラダの気持ちとしては「今までと同じでは、ダメだ、次にどんな力が加わっても抵抗できるよう、しっかりした筋肉にしなくては」と思うのでしょう。
そこで筋肉痛の時期を過ぎるとトレーニング前よりも強い筋肉ができ上がるのです。
これが、「 超回復 」と呼ばれる現象で、このためにこそ、誰もが重いウエイトを額に汗して持ち上げるわけです。
超回復を果たした筋肉は 、以前より重いウエイトを持ち上げたり、高くジャンプできたり、疲れにくくなっています。
つまり運動能力が高まっているわけです。
さらに、筋肉自体も肥大していて、外見も変化してきます。
これがトレーニングの喜びなのです。
超回復を生かすも殺すもタイミング
「超回復」をどんどん繰り返していけば、厚い胸板、引き締まったウエスト、キュッと持ち上がったヒップも自分のものになります。
しかし、たった一度のトレーニングぐらいでは、カラダにミラクルな変化は訪れないことぐらいはわかります。
次はいつトレーニングすればいいのか、また、何回繰り返せばいいのでしょうか。そこが問題ですね。
「超回復」をして強さを増した筋肉も、実は数日たつうちに元のレベルに戻ってしまうのです。
だって筋肉は基本的に使わなければ衰えていくものです。
エレベーターに慣れた脚は2回だって上がるのはイヤだし、ちょっと大笑いしただけでお腹が痛くなったりします。
あれはすべて、普段使われないものだから弱くなってしまった証拠なのです。
もとのレベルに戻っても、またトレーニングすれば「超回復」は訪れます。
でも、これではいつまでたっても「振出しに戻る」ゲームと同じ、なかなか次のステップには進めない、筋肉も目に目て大きくならない。
もちろん健康増進になら効果もあるのですが。
もし 筋肉の育成を目的にしているのであれば、振出しに戻る前の、「超回復」そてり真っ最中の筋肉を狙うことです。
いつもより肥大している筋肉に、 再びダメージを与えるのです。
これが筋力アップのメカニズムです。
筋肥大を成功させる3つのコツ
❶見栄を張らず、ラクしない筋トレが最適な負荷!1~3日ほど筋肉痛が出る負荷が筋肥大に向いている!
さて、「超回復」という筋力アップの秘密は分かったと思います。
ですが、成功させるにはまだいくつかコツを知っておかなくてはなりません。
まずは負荷のかけ方です。
基本的なウエストトレーニングの回数は1セットで8~10回、1分ほどの休憩をはさんでこれを3セット繰り返します。
この回数、セット数をこなした時点で 筋肉が限界、もう動きません状態になっているのがベスト です。
なぜかというと、 筋肉に効果的な無酸素運動 にはこの回数がピッタリだからです。
無酸素運動が可能な時間はこの程度です。
これ以上回数を増やすと、有酸素運動になってしまい、筋力アップというよりスタミナアップ、目的が違ってしまうからです。
反対にもっと少ない回数でもうダメってことになると、筋肉に対してウエイトがちょっと重すぎかもしれません。
トレーニング上級者やボディビルダーなど特別なケース以外は、 最大筋力の60~70%のウエイトを選びましょう。
ウエイトの選び方、この加減が結構難しいです。
ビギナーが陥りやすいワナの一つに、早くカッコいい筋肉を手に入れたいとばかり、無理なウエイトを選んでしまうことがあります。
特に男性の場合、人目もあり、つい無理なウエイトに挑戦して失敗するケースも少なくありません。
このようなトレーニングは、筋肉だけでなく関節までも壊してしまう恐れがありますし、筋肉痛がひどすぎて1週間以上カラダを動かせなかったり、もうイヤになってトレーニングを放り出してしまうのも、ウエイト間違いが原因だったりします。
また慎重になり過ぎるのもいけません。
一カ月経っても半年経っても同じウエイトで同じ回数だったり、何十回もトレーニングできてしまったり。これでは筋肉は慣れてしまって成長できません。
たぶん筋肉痛も出ていないはずです。
負荷のかけ方として翌日から 1~3日ほど筋肉痛が出る負荷 を選びことです。
ぜんぜん痛まない時は、ウエイトを少し重くしてみましょう。
また1週間以上痛む場合はウエイトを軽くしてみましょう。
この時は前回よりも高い負荷でトレーニングできるはずです。回数やウエイトで負荷を増やして筋肉を追い込みます。
あとは自分のカラダと相談して決めましょう。「ちょっとラクしてるな」と思ったら2セット目はウエイトを増やしたり、「見栄張ってるかな」と思ったら、ウエイトを下げたり回数を減らしてみましょう。
そして2~3日間、カラダをしっかり観察し、次のトレーニングのタイミングと負荷を決めていきます。
これが 間違いのない筋力アップのやり方 です。
❷ぐっすり眠って、すくすく育つ筋肉。筋肉は修復され強くなるのは睡眠中!
しっかり筋肉を使ったら修復作業が済むまで、とにかく筋肉を休ませましょう。
トレーニング後の筋肉はパワーダウンしています。この時に無理してトレーニングを繰り返すと、筋肉はダブルでダメージを受けることになり、疲労ばかりたまり、再生にずいぶん時間がかかってしまいます。
トレーニングが楽しくなってくると、つい毎日でもウエイトを持ち上げたくなり、筋肉痛が残っていても多少目をつぶり頑張ってしまうと言うワケです。
これでは結果として回り道をすることになります。
だいたい 24~72時間は休ませておきたい ところです。
目安としては筋肉痛が引いたら次のトレーニングチャンスです。
力がみなぎってきたり筋肉に張りが出てきて、自分でもわかるはずです。
もしウエイトを持ってみてパワーが出なかったりすぐ疲れてしまったら、少し早すぎたと判断し、すぐに中止して1~2日ほど間をあけましょう。
カラダを十分休ませるには、 睡眠をしっかりとることが大切 です。
睡眠中には筋肉の成長や修復を促す成長ホルモンが分泌 されています。
寝ている間に筋肉はグングン育っていくのです。
だからと言って10日も2週間も休みっぱなしではもとのもくあみです。
筋肉は効率よく育ってくれません。
タイミングを逃さずトレーニングを積んでいきましょう。
❸2倍のタンパク質が筋肉の成長を左右する
せっせとトレーニングしてグースカ寝ても、ちゃんと食事をしなくては筋肉は痩せたままです。
土地も設計図も腕のいい大工さんがそろっても、材木が届かなくては家が建たないようなものなので、全てが無駄になってしまいます。
食事からの栄養分こそが筋肉の原料になります。
特に筋肉のほとんどを占めているタンパク質が大切で、素早い筋肉の修復には体調に補給しなくてはいけません。
タンパク質と言えば、肉、魚、たまご、乳製品、大豆製品に含まれていますが、私たちはタンパク質をどれだけ取っているのでしょうか?
肉も魚も良く食べるという人でも、実は筋肉を作り上げるにはまだまだ不足しているという統計結果が出ています。
何しろ、トレーニングで筋力アップを図る場合、 体重1kgに対し2~3gのタンパク質が必要 だと言われているからです。
つまり体重60kgの人なら、120~180gは摂取しなくてはいけません。
それはたいへんなことです。
例えばサーロインステーキのジャンボサイズ250gをペロリと食べたとしましょう。
これでも含まれているタンパク質は50g程なのです。
一日に必要な分の3分の1ほどにしかなりません。
たまご1個でも7gほど。 10個丸飲みしてもまだまだたりません。
ただ一つ困ることがあります。
タンパク質いっぱいの食品にはたいがい 脂質もどっさり含まれていること です。
サーロインステーキは言うに及ばず、たまごや大豆製品に含まれる脂質も見逃せません。
タンパク質を取っているつもりが、過剰な脂質を無意識に蓄えていることになりかねず、これはもちろん体脂肪となり筋肉のうえにドサリと覆いかぶさってしまいます。
これでは当記事が目指している「体脂肪を燃焼させて筋肉をつける」目標に反してしまいます。
もちろん脂肪分の少ないタンパク質食品もあります。
鳥のササミ部分、ツナ缶のオイルを切ったものなどです。
アスリートが栄養のバランスを考えて利用するこのような食品を利用する手もありますが、 何より手っ取り早くて間違いないのは市販のプロテインを利用する方法 です。
プロテインは良質のタンパク質を無駄なものを取り込むことなく摂取できます。
カロリーも高くないので、摂取カロリーのバランスを崩す必要もありません。
食事のときや、トレーニング後に利用すると良いでしょう。
炭水化物が不足すれば、筋肉が燃えてしまう
さて、とるべき栄養素はまだあります。
次に大切なのは筋肉を動かすエネルギーになる 炭水化物 です。
主食に多い栄養素で、ご飯、パン、そばやうどん、じゃがいも、さつまいもなどのイモ類にも含まれています。
また糖分も炭水化物なので、甘いケーキや飲み物も 即座エネルギーとして有効 です。
疲れたときなど甘いものが欲しくなるのは、体内の炭水化物(さらに細かいグリコーゲン)が不足しいる証拠です。
その炭水化物が不足するとどうなるでしょう。
カラダはなんと自分の筋肉を分解してエネルギーを作り出してしまいます。
せっかく成長してきた筋肉も、どんどん分解されていきます。
体脂肪を燃やしたいために空腹でトレーニングをする人も多いですが、軽い有酸素運動ならともかく、ウエイトトレーニングの前には、 必ず適度な炭水化物を取っておくようにしましょう。
トレーニング中は水で割った100%オレンジジュースを利用することもあります。
これがエネルギー切れを防いでくれます。
ただ、日本人は炭水化物を取り過ぎている傾向がある。
エネルギーとしてもちろん必要ですが、タンパク質の次に多く取るつもりでいた方がいいかもしれません。
また 脂質も取るべき栄養素 です。
これがないとカラダはエネルギー不足を覚えたり、満腹感を得られずにいつまでも食欲が続いたりします。
脂質を取ることが脂肪をエネルギーとして燃焼させる手助けになっているのです。
ただ、少量でもカロリーは高いので食べ過ぎに注意しましょう。
ほかにはカルシウムやビタミン類、ミネラルなど、体の各機能を正常に動かし、トレーニング効果を上げるためには何一つ欠けては困ります。
カルシウムは骨の成長に欠かせないですが同時に 運動神経の働きを助けたり、筋肉の収縮 をになったりしています。
神経系がスムーズに働くにはいつもたっぷりほしい栄養素です。
最近、注目されている 活性酸素 です。
これが激しいトレーニングで体内に発生することがあり、カラダにとって大変なストレスとなります。
ビタミンCやEなどの抗酸化物質をしっかり補給して、酸化防止対策を取りたいものです。
最後にまとめ:筋肥大に必要不可欠の3大要素が効率を上げる
筋肉を思い通りに付けて自分のボディをデザインしていくためには、 ①トレーニング 、 ②休息(睡眠) 、そして ③食事 の3本柱が必要です。
どれがかけても筋肉はうまくつきません。
筋トレしても、筋肉が大きくならない、強くならないと感じる方はこの3つのうち何かが欠如していることが考えられます。
正しい筋トレ方法をマスターすることで効率よく筋肥大に導くことができます。
コメント