最近周りで便秘に悩んでいる人が多い気がします。
便秘も甘く考えていてはいけません。便秘が続いて便が腸内に長く停まると、体と心にさまざまな悪い影響が出てくるのです。
- 腸内に悪玉菌が増える
- 骨盤内の血行が悪くなり、全身的に血行が悪くなる
- 自律神経の働きが乱れる
また便秘はお肌にとっても大敵です。
女性ホルモンの1つである黄体ホルモンには大腸のぜん動運動を抑える働きがあるため、黄体ホルモンの分泌量が増える月経前は、とくに便秘になりやすくなります。
腸のコンディションが悪いときは、肌の調子も悪く、気分もモヤモヤしがちです。
美肌のためには、外側からのスキンケアだけでなく、便秘にならない生活を心がけることが大切です。
便秘とは? 「毎日排便がないこと」が便秘ではありません。
3日以上出ないことが便秘の目安になりますが、たとえ毎日お通じがあっても、おなかが張ったり痛んだり、便がすっきり出なかったり、またコロコロした便が出るような場合は、便秘と考えます。
排便のメカニズム 口から摂取した食べ物は食道を通り胃→小腸→大腸→直腸へと消化・吸収されながら送られていきます。
胃では食べたものが分解され、消化液と混ざり合った液状で小腸へと移動します。
小腸から体内に吸収される際に60~70%が吸収され、残ったものが大腸へと流れ込みます。
大腸では主に水分や電解質を吸収し、残った搾りカス(食物残渣)が集められて固まり、便が作られます。
作られた便は大腸から直腸へと送られ、直腸内に溜まってくると脳に「便が来ている」という信号が送られます。
この信号を受けることで便意を感じ、肛門括約筋の緊張を緩めて直腸の蠕動運動を強め、排便が行われます。
便秘の種類(タイプ)
便秘は、大きく機能性便秘と器質性便秘に分かれます。
機能性便秘は3つに分けることができます。
生活習慣や精神的な影響を受けて便秘になります。
器質性便秘はなんらかの体調不良や異常でひきおこされる便秘です。
この場合は速やかに医師の診察をうけて、体の異常を改善することが優先されます。
弛緩性便秘・痙攣性便秘・直腸性便秘
弛緩性便秘
食物繊維不足の食事や運動不足などで腸への刺激が足りなくなる便秘です。
最も目立つ原因は人それぞれですが、腸への刺激が少ないので蠕動運動と呼ばれる腸の働きが低下しがちです。
蠕動運動が鈍くなると、腸に運ばれた食物などは大腸に停滞したままになります。
便意はたまに感じるものの、腸から運ばれてこないので排泄できずに腹部が張ります。
停滞している食物は、腸壁から水分だけが吸収されていくので硬くなります。
やっと排泄できても、水分が失われているのでコロコロで硬い便です。
痙攣性便秘
睡眠不足やストレスで自律神経が乱れてしまい腸の蠕動運動が活発になりすぎることで起こる便秘です。
腸が痙攣すると活発に働き過ぎて、引きつっているような状態になります。
どんなに食物繊維や水分を摂取しても、腸を正常に通過できないので便が排泄されずにお腹が痛くなったり苦しい思いをします。
精神的な原因や、不規則な生活習慣が影響しているので改善すれば症状も緩和されていきます。
腸の働きを正常化させるために、香辛料や炭酸飲料などの刺激を与える食事は控えます。
便秘ならとにかく下剤を飲めば良いと思いがちですが、下剤は腸の働きを活発化させるために刺激を与える効果があるので、痙攣性便秘の場合は逆効果です。
直腸性便秘
下剤や浣腸など無理に便意を促す薬の乱用、意図的に便意を我慢し続けることでひき起こされる便秘です。
腸が自分の力では排便を促さなくなってしまうので、食物が腸に停滞してしまいます。
それでも食事をするたびに腸に食物が運ばれるので、便は出ないのにお腹がパンパンに張ってしまいます。
直腸性便秘の場合、食物は停滞するほど硬くなって腸に溜まっていきます。
便は押し出す力が弱いうえに硬くなるから、自力では排泄できなくなります。
便秘解消をするための基本対策
便秘を改善する8つの基本的生活習慣の見直し
①朝食をシッカリ食べる
空の胃に食べ物が入ると脳が刺激され、便意を起こします。1日3食。
バランスの良い食事を心がけましょう。
②水をたくさん飲む
便秘の時は、便が硬くなって、詰まっています。
水をたくさん飲むことで、便が柔らかくなって、排便しやすくなります。
あんまり飲み過ぎるのも、しんどいので、1日1~1.5リットルを目安に飲むのがいいでしょう。
特に朝は起きたら冷たい水を1杯飲みましょう。
そうすることで、大腸の運動が促されます。
③ヨーグルトなどの乳酸菌をとる
乳酸菌は腸の働きを良くし、腸内環境を整えます。
まずは、自分に合うヨーグルトを見つけましょう。
※自分に合ったヨーグルトを見つける方法 ヨーグルトは同じもの200g位を、毎日1~2週間食べ続け、おなかがグルグルと動くような状態になるものが、自分に合うヨーグルトと考えられます。
④食物繊維の多い野菜や果物を食べる
食物繊維は便のカサを増やし、大腸の働きを良くします。
- 海草類:ひじき、わかめ、こんぶ、のり、寒天 豆類:大豆、枝豆、グリンピース、小豆、納豆、おから
- キノコ類:えのきたけ、しめじ、まいたけ、エリンギ、なめこ
- いも類:さつまいも、やまいも、さといも、こんにゃく
- 野菜、果物:ごぼう、蓮根、人参、ホウレン草、干し柿、ミカン
- 乾物:かんぴょう、干し椎茸、切り干し大根、キクラゲ
ちなみに食物繊維は、 水溶性(納豆、山芋、オクラなど) 不溶性(キャベツ、ごぼうなど) の2種類あって、便秘に良いのは、水溶性の方です。
不溶性食物繊維も、便の量は増えるのですが、便が硬くなるので、便秘の時には、過剰な摂取はおすすめできません。
⑤腸内環境を整える
発酵食品やオリゴ糖を多く含む食品を食べましょう。
⑥便意を大切にする
便意は「便が直腸に溜まったから、出しましょう」という合図です。そのサインを何度も見逃すと、便が出にくくなってしまいます。
⑦トイレタイムを十分にとる
朝一番の排便の時間が取れずに我慢すると、次の日に持ち越しになってしまうことが多いようです。
1日1回、朝食後がベストですが、生活の中で決まった時間にトイレに行って、十分なトイレタイムを取りましょう。
⑧ストレスをためないようにする
ストレスは、腸の運動を妨げてしまいます。
自分にあった「ストレス発散法」を持って、ストレスを取り除きましょう。
便秘を解消するマッサージ方法
❶「小さな腹筋」エクササイズで、自律神経にも作用して排便を促すやり方
姿勢 |
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方法 |
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回数 | まずは10回×2セットから始めて、慣れてくれば回数やセット数を増やしてもOKです。 |
ポイント | 首や腕の反動は使わないようにします。 腹筋上部に意識を置き、効いている感覚があれば出来ています。 |
腹直筋の解剖図を動画で簡単解説
腹直筋上部の体幹トレーニングとなります。
通運動することによって、腸が活発に動きます。
特に、腹筋運動が効果的です。
肛門に圧力をかけて便を押し出すときには腹筋の力が必要になるからです。
また、腹筋が弱まると、腸の緊張が低下してぜん動運動も弱まります。
腹筋運動は腹部の血行を促進して胃腸のはたらきを高め、自律神経にも作用して排便を促します。
❻「腸もみ」で内臓の緊張を和らげる
姿勢 |
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方法 |
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回数 | 30秒間 |
ポイント | ゆっくりじわっとほぐすことが大切です。 自律神経で動く腸(内臓)ですから筋肉と違い優しくゆっくりもむことで効果が得られます。 強く激しくすると逆に腸が炎症を起こしてしまうので気持ち良く感じる程度にしておきましょう。 |
腰痛を持っている人が便秘が多いように、腸と腰は密接な関係があります。
腸をじわっとほぐすことによって、 「腸の働きが改善」→「便秘が改善」→「腰椎神経の交感神経の緊張がほぐれる」→「腰の筋肉、靭帯がほぐれる」 というサイクルがうまれます。
特に、股関節周りの左右2点は便がつまりやすいので重点的にするとよいでしょう。
❸お腹を「の」の字にマッサージをして腸を活性化
おなかのマッサージも腸を刺激し、排便を促す効果があります。
あおむけになり、人さし指から薬指までの4本指で、おへその周りを時計回りに、大腸の形に沿って「の」の字を描くように約30回ゆっくり軽くマッサージします。
寝る前のリラックスタイムや入浴しながらの習慣にしてもよいでしょう。
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